腰痛の実態

日本人の約4割が生活に支障が出るほどの腰痛を経験
日本人が抱える腰痛の有訴者率について、最新の大規模調査によれば、20歳から79歳の成人で腰痛を障害で経験する人の割合は約83パーセント、1カ月間の中で腰痛を経験する人の割合は約36パーセントでした。
一生のうちに腰痛を経験する人の割合が10人中8人以上いると言うことですから、実にほとんどの日本人は、痛みの度合いや種類は違えど、生涯に1度は腰の痛みに見舞われるということです。
また別の調査によると、生活に支障が出るほどの腰痛を経験する人の割合は38パーセントもいます。さらに、仕事を休まなければならなかったほどのひどい腰痛に見舞われた人の割合は、約25パーセントにも及んでいました。実に日本人の4人1人が腰痛のせいで仕事を休まざるを得なかったのです。
そもそも腰痛を治すというのは、どういうことでしょうか?
(腰痛によって損なわれた患者さんの健康を取り戻し、取り戻した健康を維持すること)
そんな健康取り戻してそれを維持できるのを(治った)といいます。
ところが腰痛の場合、腰痛を治す事は、痛みを取ることだという勘違いをしている人が多いのです。
これは痛み止めを飲んで、それが聞いている間は痛みを感じていませんが、痛み止めの効果が切れて、また痛みが戻ってくるようでは治せているとは言えません。
腰痛が治ったというのは、ただ単に腰痛の痛みを取るだけでなく、腰痛によって損なわれた健康を取り戻して、そしてその健康を維持できることこそ治ったということなのです。
極めて多くの治療法が、ただ痛みを取ることを目指して、本当の意味で治すというところまで至っていない。これが腰痛に悩む人の割合が減らないもっとも根源的な原因であります。
ただ痛みを取るだけの治療では、腰痛を抱えている人、困ってる人の腰痛を治すことができません。
その根拠の1つとして、腰痛は再発率が高いという現実が挙げられます。腰痛にはさらに恐ろしい傾向があります。再発を繰り返すと次第に治りにくくなる傾向です。よく耳にするのは、(以前は腰痛になっても一晩寝れば痛みが治まっていたのに、だんだん、治りが悪くなってきたんです。今回は1週間たっても治らないから心配になって見てもらおうとやってきました)と言う趣旨の患者さんからの訴えです。
腰痛ではさらに恐ろしい事は再発を繰り返すと、症状が重症化する傾向もあることです。
腰痛にはもう一つ、厄介な性質があります。実は急性腰痛から慢性腰痛に移行する危険性が高いという事実です。
ある研究では、急性腰痛になって病院にかかった患者さんの4分の1から3分の一1は、初診を受けてから、半年から1年経った時点でもまだ症状が治まっていないという調査結果が出ています。
また既に慢性腰痛になっている状態で病院を訪れた患者さんの60から80パーセントは、1年後もまだ腰痛が残っていると言うデータがあります。
このように腰痛は、初診を受けてから多少改善するものの、すっきりと痛みがとれずにダラダラ残る可能性が少なくないのです。
腰痛を治すための3つの条件
1、腰痛はなおしてもらうのではなく自分が主役となって直すものだと言う覚悟を持つこと。
2、腰痛治療の目的は、単に痛みを取ることではなく、腰痛によって損われた心と体の中を取り戻し、それを維持することにあることを忘れないこと。
3、1 、2で挙げられた覚悟と心構えを必ず実行に移すこと。
誤解1
画像検査で腰痛の原因の確認できる
画像検査をして(変形している) (椎間板が詰まっている)(ズレがある)(ヘルニアがある) (分離症がある)などと言われて、それが原因で腰が痛いのだと説明してもらうと、なるほどそれが原因だったのかと、何の疑いもなく思ってしまうものです。
この通常の診断の流れは、1つの大きな前提条件の上に成り立っています。それは、痛みは(形の異常)から生じていると言う大前提です。
しかし、残念ながら、形に異常があっても、それが痛みの原因かと言うと、実は多くの場合はそうでは無いのです。
普段腰に痛みを感じていない人の画像検査をしてみると、ヘルニアや軟骨のすり減り、神経の圧迫など、形の異常が写っているケースが少なくないのです。
例えば、年齢にもよりますが、腰痛のない人のMRIでの椎間板ヘルニアが見つかったのは、20から57パーセントにも上っていました。逆に、腰痛患者にもかかわらず47パーセントがMRIで正常という研究結果もあります。
形の異常が痛みの原因である可能性はありますが、そうでない可能性もあるのです。つまり形の異常があるからといって、それが腰痛の原因だと言う事はできないのです。
問診が非常に重要になります
問診の時点で、ガンの転移、骨折、感染症の脊椎炎症、重度の神経障害、腹大動脈の解離や副大動脈りゅう破裂など画像検査も含めた緊急処置を行う必要性を示す情報を見落とさないようにする。
レッドフラッグチェック項目
発症年齢が20歳未満か55歳以上
最近の激しい外傷歴(高所からの転落、交通事故など)
進行性の絶え間ない痛み(夜間通、楽な姿勢がない、動作と関係ない)
胸部痛
悪性腫瘍の病歴
長期間にわたるステロイド剤の使用
非合法薬物の静脈注射、免疫力製剤の使用、HIVポジティブ
全般的な体調不良
原因不明の体重減少
腰部の強い屈曲制限の持続
脊椎叩打痛
体の変形
発熱
膀胱直腸障害(排尿、排便障害)とサドル麻痺(肛門や会陰部の感覚消失)
誤解2
腰痛の原因はほとんど炎症によるもの
関節リウマチや脊椎炎等の特殊な病気による1部の腰痛では患部に炎症が見られるのは事実です。
しかし、ぎっくり腰や急性腰痛の原因を、炎症だと決めつけることが正しくありません。仮に炎症ならば、安静にして患部を冷やすという対応することで効果を見ます。そのために、安静にしていないで動いていると辛くなることはあっても、改善することはありません。
ところがぎっくり腰や急性腰痛で炎症が原因となる可能性は決して多くは無いのです。
たとえ、ぎっくり腰や急性腰痛になっても、安静にするよりは適度に動いた方が、痛みがやわらいだりする場合もあります。腰を痛めてすぐだからといって、安静にしなければいけないと言う決め付けしない方が良いのでしょう。
腰痛の多くは原因がわからない
腰痛の原因は、形の異常とも限らない、炎症とも限らないというのであれば、いったい何が原因なのでしょうか?
実は、腰痛の解剖的な原因はわからないことがほとんどです。原因を特定できる腰痛は腰痛患者のわずか15パーセントに過ぎません。
その15パーセントとは椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と診断されるもの、圧迫骨折やガン、大動脈瘤などの内臓疾患が原因で起こる腰痛です。
残り85パーセントの腰痛は、残念ながら現在の医療でも原因を特定できていない腰痛です。
骨が原因なのか、軟骨が原因なのか、血管が原因なのか、筋肉が原因なのか、いわゆる解剖学的な原因探しでは原因が特定できない、その超えられない高い壁の中で、何とか治療を施そうと四苦八苦しているのが現在の整形外科です。
誤解3
腰痛は徒手療法で治せる
徒手療法とは、理学療法士などの施術者が患者の体に触れて筋肉を解したり、関節を動かしたりして、痛みや運動機能を改善させる方法のことです。マッサージやカイロプラクティック、整体なども含まれます。
これらの徒手療法に痛みをなくしたり、和らげる効果があることが確かです。
しかし、腰痛治療の目的は、単に痛みを取り去ることではなく、腰痛によって損われた健康を取り戻し、その取り戻した健康を維持することです。
徒手療法で痛みを取り除きだとしても、それで心と体の中を取り戻せるとは限りません。また、その取り戻した健康を維持することが、徒手療法では不可能です。
なぜなら、健康を維持するというのは、いわば予防ということです。予防は本質的には自分自身が主役となって行われるものです。他人がその人に代わって予防してあげることができません。徒手療法で予防は不可能なのです。
風邪や虫歯を予防するために私たちは手洗い、うがい、歯磨きをします。それは本人がやることであり、他人がやっても何の意味がないというのと一緒です。
歯医者さんのことを例に出しますと、虫歯の治療をして、その後毎回食事をした後に歯磨きの指導を受けると思います。これを腰痛に置き換えると、腰をよく使った後または負担がかかったなと思ったときは、その後腰の筋肉を解すために、エキササイズやストレッチ、お風呂などで暖めたりしてケアすることが必要になってきます。つまり、歯の場合は食事をすることが歯にとって負担のかかることになります。日常生活や仕事、スポーツなどで腰を動かしてしまったということが負担になります。歯の場合は歯磨きをして虫歯や歯槽膿漏の予防をします。腰の場合もエクササイズやストレッチをして腰痛の予防をします。歯磨きは習慣になって食後歯磨きしないと気持ち悪いと言う思いがほとんどの方があると思いますが、日常生活や仕事で腰に負担があるのに、エクササイズやストレッチを行わないこと方がほとんどです。
だから腰痛が再発が起きやすいのです。